泣いてたまるか|小鳥が鳴くフードコート

「泣いてたまるか」

3月、月末に歯茎が腫れて痛くなり、歯医者に行った。

行くかどうか、悩みに悩んで、もう行くしかないということでバンコクの日本語が通じるクリニックをいくつか探した。その中の一つに予約を入れて、向かった先、予約してます。と名前を言ったところ、そんな予約はありませんな。と言われたので、予約メールを見せた。

ここなのですけど。

あ、これはここじゃなくて、とスタッフはデスクの引き出しを開けてガサゴソ。一枚の名刺が出され、「あなたが予約したのは〇〇クリニックです」と。

間違えたクリニックに来ていた俺。

コープンカップとその名刺を手に、狐につままれクリニックを出た。Google mapsで場所を特定してGrabタクシーを呼んだ。しかし、どこで間違えたのか。あれ?この名刺ってもらってよかったんだよな?

「渋滞の為に少し遅れます」と送ったメッセージ。

なにより頭の中が大渋滞だった。

その後、初めて親知らずを抜くことになったのだが、余りの怖さに一度は駄々をこね、AIに情報を聞いて覚悟をグッと胸に、麻酔も追加で、結局はあっという間に引っこ抜かれた。

「歯、持って帰りますか?」なんて聞かれちゃって。

歯、持って帰らないだろ。

ペッチャブリーに行きました

すっかりと意気消沈の俺。そこから一旦タイ語の復習をやめ、完全休息モードの俺。本気の、プロの休みを見せてやる。と脳を休めたことで、筋トレの重要性を再確認した。流石にサボり過ぎていた。タイ語の勉強は勿論、今回のタイ滞在中GoogleがどうだとかSEOがどうだとか、苦手なパソコン仕事に脳が熱くなり、やれやれだった。その弊害が体に現れたのだと確信した。

去年のギックリ腰も絶対そうに違いない。11月12月と、2ヶ月くらい体の調子が悪く、気がどんどん小さくなっていくように思えた。その時も確か、パソコン仕事に頭がクラクラとしていた気がする。

本来、「ものすごい凄い気だね…」とサイヤ人襲来編で悟飯が言った、あの一言が欲しいのに。俺の体は正直過ぎる。体の底から「やめてくれ!」と訴えてくる。ずっと座っていることが、俺にとっては大きなストレスだった。

だって男の子だもの。

丁度ソンクラーンの時期だった。朝、清々しいまでにキリッと目覚める事ができた。不思議と、親知らずを抜いた場所も「治ってきてるな」と本能的に感じた。スッと体が軽くなったかのように、今回大きな気付きを得た。起きると、何故か心から理解していたのだ。

そもそもさ、SNS、あれ系って、女の子がキャッキャやって喜ぶやつじゃないか?

例えば、授業中に手紙を回していた平成。プリクラ。そしてシール交換。そういった女性性、その延長線上にあるのがSNS。つまり、男でネットばかりやってる奴はもやしっ子。この古いノリこそが生物的に正しいんだと気付いたんだ。俺の場合、書き終わった記事をXだの、インスタだの、そこで改めて投稿するのがもうめんどくさくストレスである。

そこで、これはもう直感に従おうと思った。これは啓示であり、生き方の指針を明らかにしてくれているのだと。だから親知らずも抜かれたのだと。

その後、携帯のホーム画面から、男らしくないアプリを全消しして半月が経つ。仕事で使うこともあるだろうから、iPadでだけは見れるようにしてある。日常生活では、時間を奪われてる感は大幅に減った。やはり、男に必要なのは野生性である。適度に身体を動かし、不器用であり、生命力に漲っている状態こそ本来の姿。

藤岡弘は呟かない。

男だからさ。

以来、そうそう男は呟かない。男は、物静かであるべきだと。昭和的思想がひとつ定着してしまった。

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「小鳥の鳴くフードコート」

小鳥の囀り、キャッキャと歩く子供。お母さんは何か子供に言い、その後をついて行く。

大盛りのガイトート(揚げ鶏)をトレーに乗せ運ぶ少年。

丁度日曜日の昼飯時真っ只中。

流石に人が多い。席あるかな?何て考えながら、何を食べようかと店を見て回る。先ずはバミーペットヤーンヘーン。中華麺に焼いたアヒルを乗せた汁なしそばである。35バーツ。エビの混ぜご飯、カーオクルックガピはタイのちらし寿司みたいでカラフル。縁起が良さそうな見た目なので波動が高い飯に違いない。

水を買いトレーに飯を乗せて席を探した。

チャオプラヤー川の見える側へ行くとカウンター席が空いていた。BARみたいに椅子高いけど、まぁ川見れるからいいか。「ピピピピッ」と小鳥の鳴き声。妙にリアルだなと思った。上を見ると2羽の小鳥。おやおや?癒しのBGM流してるんじゃ無くて、本物なんだ。

やっぱりだ。

今まで当たり前のようにしていたが、タイのフードコートって小鳥いるの、小鳥、飼ってるんだよな?勝手に入ってきた奴じゃないだろ?癒し効果なんだろう?

もし、飯にうんこが落ちてきたら怒りが勝つが、落ちてこないなら、まるでディズニープリンセス気分である。小鳥達が歌ってくるあの感じだ。鳴き声は優雅な気分にさせてくれるからな。

ついに3週間キッチンに住むヤモリを捕まえた

チャオプラヤーを小さな小舟が登って行く。青空も見えるが雨も降りそうという難しいお天気のバンコク。飯を食い終わると、健康そうなバナナベリースムージーを買い、フードコートを出た。ショッピングモールの中、川の見える場所に腰を下ろしスムージーをチューチューと吸ってはぼけーっとただ川を見ている。隣で同じようにお爺さんが川を見ている。なんだか将来の自分を見ているかのようである。

ひとつ下の階には外広場があって、今日はピッグファームとゴートファームと書かれたちょっとしたスペースが設けられていた。豚もヤギもいないけど。あちぃから昼時は避難でもしてんのかな。そもそも人っ子1人歩いていない。一年で一番暑い時期が終わろうとしているが、それでも昼時は危険な暑さである。

夏と雨季の狭間、またポツポツと雨が降ってきた。

もし、またフードコートで小鳥が飛んでいたら、次こそは「ここで飼っているんですよね?」と聞いてみたい。