「2025年、角刈り、そしてハートヤイへ|タイ南部ぶらり旅」

[プロローグ]

今年の東京生活も残すところ僅かだった。仕事は相変わらず、やきとりを焼き、煙が舞う厨房で汗をかいている。もう8年くらいになるだろうか。詳しくは覚えていないが、友達の作った会社に長い事所属しているのだ。個人的働き方改革?自由の名の元に、季節労働者的働き方をしている。彼は、変な友達を持ってしまった、と思っている事だろう。

そんな数日もあっという間に過ぎていった。旅立ち当日、いつものように起き、シャワーを浴びて外に出た。まずは髪を切ろうと近くの1000円カットへ行ったが混んでいて断念。帰りにパン屋で昼飯を買い、携帯ショップに寄って契約を解除した。使っているiPhoneはSIMフリーにしてあるので、タイのSIMを現地で買えば向こうでも直ぐに使える。一度家に帰り、時を置いてもう一度髪を切りに出かけた。とにかく短髪一択。短い方が旅が楽だからね。トラック野郎か、昭和のスターか、見ようによっちゃ角刈りとも取れる兄ちゃんスタイルが出来上がり、「うむうむ」と家でシャワーを浴びてから成田へ向かった。

16:30。成田に到着。成田空港の一つ手前の駅だ。成田山のお不動様に手を合わせてからタイに旅立ちたかった。もう殆ど人もいなかった。参道にある多くの鰻屋も閉店の時間だった。駅前の王将で中華そばセットを食い散らかし、空港へ向かった。フライトは夜の9時過ぎ、ドトールでアイスコーヒーを飲みながら、持ってきた小説“機動戦士ガンダム0083”を手に取った。なるべく、ゆっくりと読む事にしよう。相変わらず成田空港のフリーWi-Fiがゴミで何もできず、マツキヨのフリーWi-Fiがありがたかった。

…落ち着かないフライトだった。隣の席は巨人が座っていたし、真ん中の席だったし、最初の2時間くらい、ずっと揺れていた。ウトウトしたような…しなかったような…深夜2時、予定よりも早くドンムアンに到着した。人も全然いなかった。

「バンコクよ!私は帰ってきた!」

人類が、その増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、すでに半世紀以上が経過していた…。数日、バンコクでプラプラと、ディスペンサリーに行ったり、かわいい小さな鉄道駅の市場や、トンブリー地区を散歩をしたり、ムーカタも食べた。

[バンコクのディスペンサリーやトンブリー地区の話は別の記事にて]

昔ながらのタイコーヒー
ムークロップとポットの豚スープ
ムーカタ
TalatPhlu

そんなんしてるうちに、小説版、機動戦士ガンダム0083(上)は半分ほど読み終えていた。21歳、初めてバックパッカー旅行をした時から、旅のお供には文庫だった。何冊か、カバンに入れておく。読んだ本は旅先のゲストハウスに置いて帰る。フロントにちょっとした本棚コーナーがあれば最高で“地球の歩き方”なんて置いてあれば隣に置いていた。

ハートヤイ行き当日、agodaで予約した航空券と、ハートヤイのゲストハウスをもう一度チェックした。今だにこっちでのSIMを買っていない俺、タイではWi-Fiのある所でしかネットが使えない。ドンムアンに行くつもりだったのだが、よく見るとスワンナプーム空港だった。

「あぶね〜」

チェックしておいて良かった。スワンナプームまでの行き方を調べて2時半過ぎ、空港に向かう為、最寄りバス停へ。バス停に着くと雨が降ってきた。直ぐに土砂降り、スコールだ。灰色の景色の中、水飛沫を上げながらバスは進んだ。

パヤタイから、空港行きが直通で出ていてとてもイージー。駅で電車待ちする頃には、屋根に当たる雨の音しか聞こえないくらいの豪雨。怖いくらいのザーザーっぷりだった。そして、空港に着く頃には雨が上がっていた。

これがタイの雨季なのだ。

ハートヤイまでは、飛行機で1時間ちょいで着く予定だ。片道3800円くらいだった。バスで行くより安かったんじゃないか?それに、バスだと12時間くらいかかりそうだからな。

ばかみたいに空調の効いた空の旅。バスもそうだけど、タイって設定温度6℃とかまで下げれるのかな?上着忘れて、Tシャツの上からロンT着てもまだ寒かった。途中から急に暑くなり、安定しない空調。着陸の時には、また寒くしてきて、もう、何も分からなかった。

ハートヤイに着くとイスラムな服装の団体がお出迎え、20人ぐらいが携帯をこちらに向け待機していた。ん?誰か、スターでも降りてくるのだろうか…なんか南部に来たなって感じだ。マレーシアが近い。

空港からは、タクシーでゲストハウスまで、250バーツだった。むむむむむ。ゲストハウスのフロントには誰もいなかった。なんならドアが閉まっていた。ピンポンを押したがノーチャンス、人の気配がまるでない。Wi-Fiが無いのが裏目に出た。くぅ〜。まずはネット繋げそうなカフェとか無いかな〜?と近場を歩くが見つからない。10時、店が閉まっていく。町が眠ろうとしていた。

宿近くの、飲み屋にいたマダムに声をかけた。「俺を助けてくれ〜!Wi-Fi使えますか?」と。「あのホテル誰もいなくてチェックインできないんよ!」と。

…。

ハートヤイマダムは2人に増え、色々と、親切に助けてもらった。電話もしてくれた。しかし、思いは届かず。ありがとうハートヤイマダム達。

「今夜は仕方がね〜」ちょっとしたハプニングが起きたけれど、切り替えて、何か食いたい。腹が減ってしまった。

プラプラ歩いて、近くの宿に一泊緊急チェックイン、できるのか。

サワディーカップ!

「Do you have available room tonight?」

頼む!もう安い宿を探し歩くのもめんどくさかった。…夜の早い町、ハートヤイ。どうだ?ハートヤイ。

流暢な英語で「部屋あります」と。

勝ちました。ありがとうございます。しかもモーニングコーヒー付いてるってよ。ちょっと高い宿だったけれど、これもまた人生。さて、隣の食堂で飯を食おう。るんるん。

ありましたえ。カオトムプラー。おっと、口調が天竜人になってしまった。これは魚のカオトムなのだけれど、スラターニーで食った時ハマっちゃって。これが美味いんだ。ビネガーとチリ、タイの納豆?を少しトッピング。

俺、通だからさ。

タイの納豆?

あっという間にぺろだった。人の来ない場所で、食後の一服。タイでは携帯灰皿を持ち歩いている。あると便利だ。

フルーツを買って部屋に戻った。良いホテルだからね、ネットフリックスも、YouTubeも見れるし、シャンプーとボディソープも良さそうなやつだった。YouTubeでゆっくり系の音楽を流し、ゴロゴロと…

…朝早くに目が覚めた。今日も元気に「朝市でも散歩しに行こうかな」と俺。泊まるはずだった宿からもメッセージが来ていた。活気のある小さな朝市ではローカルのおじちゃん、おばちゃんが野菜や肉を買い、ジョーク屋(お粥)も開いている。

「ここら辺は飯に困らないな」

メインストリートを赤や青のソンテウが走っている。徒歩圏内も市内観光も便利そうだ。

泊まるはずだった宿に移り、そりゃそうだよな、とキッチリ昨日からの宿代を払った。俺ってば、チェックインできる時間もちゃんと確認します。これからはちゃんと。絶ッッッッ対。

何にせよ、「旅が始まった」って感じがするな。次はパッタルン、そしてトラン、ナコンシータマラート、北上しながらタイ南部を旅する予定だ。

2025年のほっこり旅、南部編のブログは不定期でアップしていきます!

「旅はまだまだ続く〜」

バンコクで見つけた激安のディスペンサリー、ピンク色の品種"BlackoutCherry"が珍しかったので別の記事にて紹介します。

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